近隣トラブルのある物件の売却方法とは?

近隣トラブルのある物件の売却方法とは?

近隣トラブルがあっても売却できないわけではない

近隣トラブルのある物件を売ろうとすると、「こんな状態では売れないのではないか」と不安になる方は少なくありません。たしかに、騒音、境界、越境、ゴミ出し、通行、駐車などの問題がある物件は、一般的な物件より買主が慎重になりやすいのは事実です。ただ、近隣トラブルがあるからといって、必ず売却できないわけではありません。大切なのは、問題を曖昧にしたまま進めるのではなく、内容を整理したうえで、その物件に合った売り方を選ぶことです。国土交通省の解釈・運用の考え方では、売主等しか分からない事項については、告知書を買主に渡して将来の紛争防止に役立てることが望ましいとされています。

また、実務で使われる物件状況等報告書の記載例には、近隣の建築計画、騒音・振動・臭気、周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設、近隣との申し合わせ事項等といった項目が含まれています。つまり、近隣との関係や周辺環境は、売買の場面で無視されにくい情報だといえます。これは、近隣トラブルが建物そのものの不具合ではなくても、買主の判断に影響しやすいことを示していると考えられます。

まずはトラブルの内容を整理することが大切

近隣トラブルのある物件を売却するときは、最初に「何が問題なのか」を整理することが大切です。単に「隣と仲が悪い」というだけでは、売却の進め方は決まりません。騒音の問題なのか、境界の問題なのか、越境や通行のように土地利用に関わる問題なのか、それとも一時的な感情のもつれなのかによって、重さがまったく変わるからです。特に、境界、通行、越境、近隣との取り決めのように不動産そのものの利用条件に関わるものは、売却時により慎重な整理が必要になります。物件状況等報告書でも、近隣との申し合わせ事項等を記載する欄が設けられています。

近隣トラブルを整理するときは、次のような点を確認しておくと進めやすくなります。

  • 何が原因のトラブルなのか

  • いつから続いているのか

  • いまも継続中なのか、すでに解消に向かっているのか

  • 口頭だけの話なのか、書面や写真などの記録があるのか

  • 境界や通行など、不動産の利用そのものに影響する内容なのか

ここが曖昧なままだと、売却途中で説明がぶれたり、買主から質問を受けたときに答えが変わったりして、かえって不信感を持たれやすくなります。近隣トラブルのある物件では、価格を考える前に、まず事実関係を整理しておくことが重要です。告知書は、売主や所有者しか分からない事項を記載し、将来の紛争防止に役立てるものとして位置づけられています。

仲介と買取のどちらが向いているか

売却方法としては、一般的に仲介と買取の二つが考えられます。仲介は一般の買主を探して売る方法なので、条件が合えば高く売れる可能性があります。ただし、近隣トラブルのある物件は、内見や説明の段階で買主が不安を感じやすく、話が途中で止まりやすい傾向があります。特に、トラブルの内容が曖昧だったり、売主の説明がはっきりしなかったりすると、買主は購入後の不安を強く意識します。売主しか分からない事項を告知書で整理して渡すことが望ましいとされているのは、まさにこうした紛争を防ぐためです。

一方、買取は不動産会社が直接買い取る方法です。価格は仲介より低くなりやすいものの、近隣トラブルのある物件では、事情を理解したうえで判断してくれる相手に売るほうが進めやすいことがあります。これは制度上のルールというより実務上の考え方ですが、説明負担や売却までの時間、途中で破談になる可能性まで含めて考えると、近隣トラブルの内容によっては買取のほうが現実的な場合もあります。高値を優先するのか、整理のしやすさを優先するのかで、向いている方法は変わってきます。

売却時に注意したいこと

近隣トラブルのある物件を売るときに一番注意したいのは、問題を軽く見せようとして無理に隠さないことです。国土交通省は、売主等しか分からない事項について告知書を提出して買主に渡すことが、将来の紛争防止に役立つと示しています。実務で使われる書式でも、周辺環境や近隣との申し合わせ事項を記載する欄が設けられている以上、近隣トラブルを全く触れずに進めるのは危うい場面があります。少なくとも、買主の判断に影響しそうな内容は、感情的にではなく、事実として整理しておくことが大切です。

また、近隣トラブルといっても、売却への影響は一律ではありません。すでに解消に向かっているもの、一時的な誤解で終わったもの、境界や通行のように今後も不動産利用に影響しうるものでは、重みが違います。だからこそ、「もめたことがある」という言い方だけで片付けるのではなく、何があり、今はどういう状態なのかを冷静に整理する必要があります。売却では、建物の傷みや設備不良だけでなく、近隣関係や周辺環境も含めて物件全体が見られるからです。

さらに、境界や越境、通行のように土地利用に関わる問題がある場合は、感覚で処理しないことも大切です。こうした内容は、単なる人間関係のトラブルではなく、不動産の使い方そのものに関わることがあるため、記録、図面、過去のやり取りなども含めて整理しておいたほうが安全です。近隣トラブルのある物件を売るときは、「気まずい話だから後回し」ではなく、「後で問題になりやすいから先に整理する」という考え方が必要です。

順番を守って進めることが売却成功につながる

近隣トラブルのある物件の売却で大切なのは、いきなり売り出すことではありません。まずトラブルの内容を整理し、それが一時的なものなのか、不動産利用に影響するものなのかを見極める。そのうえで、どこまで整理して伝えるべきかを考え、仲介にするのか買取にするのかを決めて進めることが大切です。告知書の活用が将来の紛争防止に役立つとされているのも、こうした順番で進める必要があるからです。

近隣トラブルのある物件は、たしかに一般の物件より売り方が難しい面があります。しかし、難しいのは「売れないから」ではなく、通常の物件より整理すべきことが多いからです。問題を曖昧にしたまま進めるのではなく、内容を整理し、その物件に合った売却方法を選べば、売却の道は十分にあります。近隣トラブルのある物件は、隠して売るのではなく、整理して進めることが大切な不動産だと考えるのが実際に近いでしょう。

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